私が一番最初に新卒で働いたのはホテル業界でした。もともと親戚が働いていたのを見てすごくかっこいいと思い選びました。
都内の最高級のホテルで多分誰でも知っている
(株)ホテルオークラ です。
そして2年弱働きましたが身体を壊し退職し、次に選んだのがアパレル業界でした。
アパレル業界でその後十数年ずっと働いてきました。
どちらも資格などが必要なく働けて、良いところも大変なところもあったのでそれをお伝えできればいいなと思い、これから就職をする方で、アパレルの業界かホテル業界で悩んでいる方の参考になればと思い書いてみました。
アパレル業界とホテル業界同じ接客業ならどっちがいい?
私個人の感想は、初めて働くならホテルをおすすめします。
理由は、きちんとした研修を受けられることや、何もわからないうちに厳しい世界に飛び込んでしまうことで後から経験することが本当に楽に思えました。
身だしなみ、言葉遣い、立ち振舞い、語学など本当に一から教わりました。
最初は本当に厳しすぎて、周りの友達が髪を染めたり派手な化粧をしていたりするのが羨ましかったです。働いてすぐにやめたいと何度も思いました。
だんだん慣れてくるとそれが当たり前に思えてきて、他の人と自分を比べることもなくなりました。その時に教えてもらったことは決して忘れることがないくらいに今でも覚えています。その後、身体を壊してしまい退職してしまいましたが、もっと身体に気を付けていればと後悔しました。
その後にアパレルに転職した時に、ホテルで働いていたということですぐに採用され正社員として働きました。
厳しいと言われる百貨店に勤務した時に、販売員がお客様の前を平気で歩いていたり、大声で話をしていたりなんてホテルでは決してなかったことで本当にビックリしました。
ホテルではそういうことは考えられなかったですし、もちろん見たこともなく、お客様の見えないところではバタバタしていてもお客様の前では決してそんなことはしない。
有名なベルボーイで一度来たら名前を覚えている方や、何でも知っていて答えられるコンシェルジュ、有名なシェフがいたりみんな本当に素晴らしかったです。
本当のプロってこういうことを言うんだとホテルの人達を見て感動したことがありました。最初の職場がホテルだったことは本当に良かったと今でも思います。
若いから出来た経験だったと思います。
入社までの流れを比較
ホテル
入社までの流れ
10年以上も前のことなのでだいぶ忘れてしまったのですが、かなりの人数の人達が受けていました。(短卒、専門、大卒など全員一緒に受けたと思います)
過去3年の新卒採用者数
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
大学・大学院卒 | 7 | 5 | 4 |
短期大学・専門学校卒 | 28 | 27 | 9 |
調理専門学校卒 | 23 | 8 | 14 |
その時の応募人数や時代の背景でも変わってきていると思います。2019年は3人だったみたいです。
合格した人たちが確か約1ヶ月位、研修会場で一緒に研修を受け、接客方法・立ち振まい・電話の受け方・身だしなみ・レストランでのサービスの仕方・語学など色々な基本を一から教えてもらいました。
その後それぞれの配属先を伝えられホテルに出社し、3ヶ月間はずっと先輩の社員の人と同じシフトで教えてもらい、3ヶ月後に初めて独り立ちします。
「正規雇用労働者の中途採用比率」
・2019年 76%
・2020年 67%
・2021年 9%
※2019年度、2020年度に既存の新卒契約社員の正社員登用を実施
(公表日:2022年10月14日)
※オークラのホームページに載っていました。
アパレル
入社までの流れ
アパレルも新卒の試験などは、大体同じだと思いますが私は中途で入社をしたので、一度の面接のみでものすごく簡単でした。
すぐに配属の店舗を伝えられて、即仕事をする感じでした。ただ新卒だとまた違ってきます。
ホテルと同様の流れで面接が一度のところもあります。
新卒で入社した場合は販売員ではなく内勤になる人が多いみたいです。
後は学生の時にバイトで働いてそのまま入社するという人も多いです。なのでアパレルのほうが入社は比較的しやすいと思います。
ブランドによって違うと思いますが、私が最初に勤めた会社は店舗先の店長にわからないことをその場でざっと聞きながら、すぐに働き始めたので少し驚きました。アパレルのことをまったく知らなかったのと、何をするのか、何をしたらいいのかも全くわからなかったので、本当に不安でした。
何日かはずっと他の人の動きや言葉を見て聞いて少しずつ覚えました。
会社によっては新卒で入社をするときちんと研修もあると思います。
仕事の内容のキツさを比較
仕事の内容のキツさを比較してみました。
ホテル
ホテルは配属先によって仕事の内容は全然違ってきます。フロント・ベルボーイ・宴会・ルームサービス・レストラン・調理・キャッシャー・事務など様々な仕事があります。
どこに配属されるかは、調理の人以外はわかりません。
私は宿泊部のルームサービスに配属されて、夜勤(泊まりの日)はルームサービスにかかってきた注文の電話の応対と料理の注文を各レストランに出したり、VIPの部屋にフルーツやお花を届けてほしいという注文の手配などをしたり、日勤の日は部屋にルームサービスの料理を運ぶ、食べ終わったものを下げるという仕事をしていました。
何年か経験するとまた違う部署に異動していろいろな部署を経験していきます。
有名なホテルなので泊まるお客様も日本・海外からトップクラスのお客様たちばかりで、当たり前ですが新人だからと言って失敗は許されません。一流のサービスを誇るホテルだからこそ、新人関係なく求められるレベルも高い。失敗できないというものすごいプレッシャーの毎日でした。
英語が苦手な私がなぜか毎日英語でオーダーを受けるストレス…。
「オートミール」と「ホットミルク」が毎回聞き取りにくくて辛かった!わかりにくいときはスペルを聞いて確認していました(T_T)。オーダーは毎日聞いているとだんだん慣れてきます。
部屋に料理を運ぶのも、ヒールでずっと中腰で何十回も往復で運ぶので、意外と体力を使い腰を悪くしてしまう人も多いです。
アパレル
アパレルの仕事は洋服を売る販売員のことです。
一番重要な仕事の内容はもちろん接客。
接客はお声がけをして、お客様のニーズを聞いて商品の説明をしたり、コーディネートをしたり購入までを促すことです。そのための準備として商品のバイイング・陳列・ディスプレイ・商品補充・売上目標・修理・レジなど色々とやることはあります。
最初は声をかけることが出来ず、声をかけてもし決まったらその後のレジやお包をしたり、顧客名簿をもらったりしなければならない。その流れがよくわからず、自信がないから売れなければいいなと思っていました。
修理になったらどうしようとか、伝票の書き方がわからないとか、次から次へとわからないことだらけでした。すぐに聞ければいいのですが、人が少ないのですぐに聞けないことが多く本当に困りました。
アパレルは、研修がないところがほとんどで即戦力で働ける人向きなのかなと思いました。
仕事のキツさはホテルの方がキツイかなと思います。販売はお客様との距離が近くフレンドリーに接することも出来てお客様の欲しい物も話の内容も聞いていくとわかってきます。
ホテルは毎日各国からのお客様が来て色々なことを覚えたとしても、国によって食べ物でも食べられないものもあり、料理のことも詳しくないといけないですし、それを伝えることが難しかったり、問題が起きたときにも柔軟で迅速な対応をしていかないといけないので本当に毎日が勉強の日々でした。
以前、お客様からりんごのオーダーがあり持っていった後に電話があり、「りんごに何か変なものが入っている」という電話がありました。すぐに取り替えますと伝え、戻ってきたりんごの中を見てみるとたっぷりと密のある美味しそうなりんごでした。
お客様は密が嫌だったみたいです!そこから全員で密の少ないりんごを探しまわり届けました。
人それぞれ好みも違うのでいつどんなことでクレームになるかわからないので緊張の毎日でした。
体力的なキツさを比較
体力的なキツさを比較してみました。
ホテル
仕事の内容にもよりますが、泊まりの勤務はかなりキツイです。
午後出勤して、23時まで仕事をし、次の日の朝5時起きですぐ仕事をしてお昼に終了。
体力に自信のある人向けだと思います。新卒で若かったけれど、緊張から眠れないこともあり、睡眠不足が一番つらかったです。
特にクリスマスシーズン・お正月は本当にものすごい忙しさで毎日記憶がなくなるくらいに、電話が鳴り止まず大変でした。
お料理を運ぶのもいつもの何倍にも往復し、体力的にもものすごくきつかったです。
アパレル
アパレルは長時間立っているのでやはり疲れやすいです。商品が入荷したときには検品をしたりして立ったり、座ったり、商品を運んだりするので腰を悪くする人もいます。
忙しいときには、トイレに行く時間がないので膀胱炎になる人も多い。
体調を悪くしても、少ない人数でやっている所は休みがとりにくいので無理をして出勤する人もいます。
お店の大きさや人数によって違うと思いますが、人数の多いブランドは新人が雑務をすることが多いので動くということで言うと新人が一番体力は使っていると思います。
両方とも年末年始、土日、祝日など関係なく仕事、お休みも不規則なので体力的にはどうしても疲れやすいです。
ただ、アパレルは残業があっても泊まり勤務がないのでホテルの方がキツいと思います。
人間関係のキツさを比較
人間関係のキツさを比較してみました。
ホテル
ホテルはどちらかというと男性のほうが多く、昭和的な感じで上下関係もしっかりしているような厳しい感じがすると、私は思いました。男性が多かったので男性同士では色々あったのだと思います。キッチンの新人は洗い場を担当するのでしばらくはずっと洗い物だけという仕事で修行をして学ぶ感じでした。泊まりの日のお風呂の順番ももちろん先輩たちが先なので一番下の私たちは一番最後に入っていました。
夜遅く仕事が終わって、仮眠室で寝るのですが仮眠室で寝ることに慣れなくて辛かったです。
人間関係は悪くはなかったです。
みんな優しくて、なにも出来ない私にもとても親切に可愛がってくれました。
アパレル
アパレルは女性が多く、年齢層も幅広いので人間関係が一番大変だと思います。
もちろん仲の良い職場も多いですが、中には派閥があったりして大変という話も良く聞きます。
多分理由は個人の予算があるのでどうしても自分が売れれば嬉しいですし、他の人が売れると悔しいという思いが出たり、お客様の取り合いになったりというのが原因だったりします。もちろん全員仲がよくて雰囲気の良いお店もたくさんありますが、お店に入った時にその雰囲気で大体わかると思います。
これはどこでも一番難しいところだと思います。相性もあるし、その人の持っている性格や気質もありますのでどこに行っても問題はあるのかと思います。ただ、だんだん慣れてくると最初思っていた嫌なところが本当は優しさで言ってくれていたんだと思うこともあるし、違うこともある。人間関係が本当に一番難しいと思います。
給料を比較
給料を比較してみました。
ホテル
ホテルの平均年収は正社員で350万。給料は大卒で20万前後、短大、専門で17万前後。
ただ、年齢や経験によって上がる傾向がある。
ホテルオークラの平均収入は、2022年度は460万円です。(賞与含む)
25歳~29歳 平均年収約290万円
30歳~34歳 350万円
35歳~39歳 420万円
40歳~45歳 460万円
(有価証券報告書より)
私が働いていたときの年収も確か300万円弱だったと思います。
アパレル
アパレル平均年収は、政府が公表しているデータを見てもアパレル販売員の平均年収は200万~330万位です。かなり低いです。
25歳~29歳 平均年収約310万円
30歳~34歳 355万円
35歳~39歳 400万円
アパレルは、一般の販売員と店長・副店長などでも違い、年齢と言うよりは経験で金額も違うと思います。
実際に私も30代で400万は超えていたので会社によって変わるのかと思います。
アパレルとホテルのメリットを比較してみた
アパレル | ホテル | |
一般常識・知識 | ||
再就職 | ||
有名人・著名人に会える | ||
イメージ | ||
やりがい |
ホテル
- 格式のあるホテルで働くことで礼儀作法・立ち振る舞い・言葉遣いなどを教えてもらえる。
- 今まで食べたことのない料理を覚えることができた。
- 再就職の際にホテルで勤務していたことで採用されやすい。
- 各国の有名人・著名人・政治家・会長・社長など普段会うことが出来ない人たちに会える(見られる)。
1996年シラク元大統領が国賓として滞在したり、2000年・2009年にはオバマ元大統領が宿泊。マドンナも泊まったことがあったみたいです。
私は、ルームサービスをお客様の部屋に届けに行った時に、俳優や歌手の方が出てきたことがあり嬉しかったです。年齢的には年配の方が多かったです。 - 華やかなイメージがあり、働いている人が生き生きしている。
- 夜食、朝食はコックさんが作ってくれたので美味しい御飯が食べられる。
アパレル
- 流行に敏感になる。
- お客様から信頼されて次も担当してほしいと言われる。
- 最新のファッションの情報が入ってくる。
- 芸能人は見かけたり、接客することもあるが、百貨店のルールで決して他の人には言ってはいけないことになっている。
- 自分のおすすめした商品が売れたときは嬉しい。
- 好きな服が着られる。
- センスが磨かれる。
- 洋服が安く購入できる。
デメリット
ホテル
- 夜勤、早朝勤務があり肉体的にも辛い。体力がある人向き。
- 給料が安い。
- 上下関係が厳しい。
- 新型コロナウイルスでこの業界は影響を受けやすいと思い先が心配。
アパレル
- 長期の休み、土日の休み、年末年始の休みがとりにくい。
- 給料が安い。
- お休みがシフト制になるので決まっていない。
- 営業時間が長いので早番・遅番がある。
- ずっと立っているので体力的にきつい。
まとめ
いかがでしたか?
私はどちらの仕事も自分がやってみたいと思い選びましたが、働いてみて思ったことは人と関わる仕事が好きだったんだと改めて思いました。「ありがとう」と感謝されたときは本当にうれしい。
この仕事をやっていてよかったと本当に思いました。
両方、体力的にはきつい仕事だなと思います。ただこの言葉を聞くとなぜか頑張ろうと思えました。
人の役に立つ仕事だと思います。
これから自分がどちらの業界が向いているのか、楽しめそうか、ゆっくり考えてください。
まずは体力作り。疲れたら心身労ってください。
最後まで読んでくださりありがとうございます。